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一度、野犬になって帰って来た雑種

私が旅行中に逝った最初の犬

ギンとダンを飼う随分前に飼っていた雑種犬がいます。名前はゲン。めちゃくちゃ元気でした。散歩は近くの山まで行ってリードを離すと、山奥まで走って行って帰って来ません。そして数日後に戻って犬小屋で寝ているという始末。当時はこれが許された時代でした。

山から帰って来たゲンは体中ダニだらけで、よく取ってやりました。最初、胸の辺りをさすっていると、ポロッと黒いものが落ちました。それは吸血してパンパンに膨らんだダニでした。ダニは噛み付いたら自分の周りに卵を産み、放射状に広がっていきます。

なので1匹だけということはなく、数匹~数十匹が噛み付いていることがザラでした。また、ダニは上半身に多いです。下半身には殆どいません。特に耳の中、耳の先っぽ、背中、顔に集中します。他にはノミもいました。ノミを見つけると、犬の毛をピーンと引っ張ってノミを挟んで動けなくします。そこで親指の爪で挟んでプチッと潰します。

ダニは取って石で潰します。吸血してパンパンに膨らんでいる大きなダニは、色々いたぶって遊びました。虫眼鏡で焼いたり、夏にはマンホールの上に置いてジリジリ焼いたり、足を全部ちぎってセロハンテープにグルグル巻いて捨てたり、蜘蛛の巣に絡ませて観察したり、アリの行列に与えてみたり・・・

山でこれだけダニが付くなら、野生動物はもっと凄いだろうと思います。

ゲンが山から帰って来なくなって2週間ほど経った頃です。当時はまだ野犬がいて、ときには集団になって山をウロウロしていました。その中にゲンがいたんです(笑)

いつの間にか野犬の仲間になって自由を謳歌していました。しかし、また2週間ほどするとうちに戻って来て犬小屋で寝ていました。もちろん、大量のダニが付いていました。因みに、シャンプーするとダニとノミは殆ど死にます。このときはシャンプーしてやりました。

真夏のある日、ゲンの様子がおかしいことに気付きました。まっすぐに歩けず、自分の尻尾を追ってグルグル回り続けています。顔を見ると、明らかにおかしい。人間でいうと脳梗塞とか脳腫瘍のような感じです。当時はインターネットがなかったので、電話帳で家畜の獣医師を見つけて、そこの診療所に連れて行きました。

「もうちょっと早く連れて来てくれたらよかったのに・・・」と言われました。大きな注射を背中に打ってもらいました。犬に注射する場合、背中の皮膚下にします。そこに薬を注入するのですが、大量に注入すると吸収されるまで時間がかかるので、瘤になって盛り上がります。それが痛々しくて可哀そうでした。

そんなときに限って、私は浜松の友人宅に1週間ほど遊びに行きました。すると、その間にゲンが亡くなっていました。死に際を私に見せたくなかったのでしょうか。

ゲンが亡くなるときは、獣医師が来てくれたそうです。死ぬ間際に脱糞したので、それを素手で受けて綺麗にしてくれたとのこと。その話を聞いて感動しました。獣医師って凄いなと。立派な棺桶に入れて献花をして、山の中にある火葬業者のところで火葬してもらいました。

火葬する際、宗教について訊かれました。仏教ですか?キリスト教ですか?宗教は信仰していませんが、日本人なので仏教にしておきました。火葬中は、テープでお経を流してくれました。骨は集団埋葬してもらいました。そのペット霊園は今でもありますが、思い出してたまにお参りに行っています。手を合わせていると自然に涙が出ます。

その後に飼うギンの死に際にも立ち会えなかったので(旅行に行くタイミングが悪い)、どうやら私はペットを看取るという一番大事な瞬間には縁がないように思っています。それでもペットと過ごした大切な日々は心の中でずっと生き続けています。

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